絵本 かあちゃんに あいたい その12
2009年 11月 27日
日本は11月27日の早朝です。
今日もご覧頂きありがとうございます。
絵本 かあちゃんに あいたい 文 絵 ねづまさき
その12
風がふきました。
子グマは だれかに あたまを なでてもらっているのに 気がつきました。
あたりを見ると いままでに 来たことのない 場所でした。
「今のは ゆめだったのかな。
あなたはなにをしているの?」
つづく
次のブログでこのブログを紹介していただいています。
「家族6人 犬一匹 ロッキー山脈ふもと生活」
とびっきりLovely~アメリカ~
MARIGARDEN
今回はブログの友人 さりすけさんの健ちゃんへの追悼の思いを絵本にしました。
昨年夏に描かせてもらった袴姿の健ちゃん・・とても自慢げにかっこいい健ちゃんが愛らしい!←クリックすると健ちゃんに会えます。
for Ken and his mother
絵本 かあちゃんに あいたい 文 絵 ねづ まさき
その1
冬
山の おくふかく 母グマと この冬に生まれた子グマの上に
雪が しんしんとふりつもります。
「ねえ、かあちゃん 木の芽ってそんなにおいしいの?」
「そうだよ いい子だ いい子だ もうすこし ねんねしようね。」
母グマは もうじきおとずれる春が まちどおしくてたまらない 子グマに
やさしくやさしく 語りかけます
その2
春
子グマは 待ちかねたように ほらあなのそとに 出ました。
かあちゃんの言ったとおり 木の芽はあまくて ほっぺたが おちそうでした
子グマは うれしくて うれしくて めぶきはじめた きみどりいろの野原を
ヤマメがおよぐ 川のふちを かけまわりました
なにもかも かあちゃんが おしえてくれた とおりでした
その3
しあわせな日が つづきました。
子グマは、母グマに 食べもののことや 山でやってはいけないこともおそわりました。
「ぼく、かあちゃんだいすきさ。 ねえ、かあちゃん、いつまでも ずうっといっしょにいてね。」
母グマもそんな子グマが かわいくて しかたありません。
「そうだね。ずうっと いっしょにいられたら どんなにいいことかしらね。」
そのころ やせた 大きな オスのクマが 親子のすむ山を よこぎりました。
そのクマは、里のさくもつを あらして となりの山から かりゅうどに おわれてきたのでした。
なにもしらない 子グマは きょうも母グマに やさしくだっこされて 安らかな ねむりに つくのでした。
その4
「かあちゃん どうしたの?」
子グマは いつもとちがう 母グマのようすに おどろいて ききました。
母グマは、鼻のおくに ツンとくる 鉄のにおいと つよく感じる 犬のにおいで
おそろしい かりゅうどが 近づいてくることに 気づいたのでした。
かりゅうどは 母グマが思っていたよりも ずっと早く 親子のまえに あらわれました。
母グマは、なんとかして 子グマを たすけたい と思いました。
けたたましくほえる 犬の声。
やがて かりゅうども 親子のクマに 気がつきました。
母グマは ゆっくり立ち上がりました。
かくごをきめた ひょうじょうです。
その5
「かあちゃん こわいよ。」
「いいかい おまえは 犬とは 反対のほうに 走るんだよ。
ぜったいに ふりむいちゃ いけないよ。」
「かあちゃんは にげないの?」
「かあちゃんは にげるけど 犬のほうにいくよ。」
「やだよ いっしょじゃなきゃ やだ!
そんなことしたら はなればなれになっちゃうよ。」
いつもは やさしくだっこしてくれる 母グマの手が子グマの せなかを つよくおしました。
子グマはたおれました。
でも すぐに走りだしました。
その6
犬がいちだんとはげしくほえました。
母グマのうなり声も聞こえます。そして
「ダーン」
あたりに 火薬のにおいが ただよいました。
子グマは、はしって はしって もうどこを はしっているのか わからないほど はしりました。
それでも かあちゃんにいわれたとおり ぜったいに ふりむきませんでした。
まよなかに なりました。
その日 子グマは生まれてはじめて
ひとりぼっちでねました。
こわくて さみしくて なきだしそうでした。
「かあちゃんに あいたい。」
なんども なんども いいました。
その7
あくる日 子グマは、ようやく すみかの ほらあなに もどってきました。
かあちゃんに だっこしてもらった しあわせな日が たしかにここにありました。
でも いまは、どんなに大きなこえで よんでも かあちゃんは いません。
子グマは かすかな においに 気がつきました。
「あっ これは かあちゃんのにおいだ。」
子グマは、このにおいを たどっていったら きっと かあちゃんにあえるとおもいました。
その8
夏
いきものの いのちが かがやく季節です。
でも子グマのきもちは すこしも はれません。
「かあちゃんが りょうしに うたれてしまったかもしれない。」
そう思っただけで 子グマは からだから力がぬけてしまい、
息をするのも苦しくなるのでした。
子グマは 大きくひとつ ためいきを つきました。
その9
季節は 少しずつ 秋に ちかづいていました。
子グマは 母グマの においをたどるうちに 里のほうに おりてきてしまって いたのです。
おなかがすいて なにか 食べられるものをさがしていると いままでに かいだことのないような いいにおいがします。
その10
つり橋をわたったところに パン屋がありました。
そばにクリのイガが たくさんすててありました。
小さい実が まだはいっているのをみつけて 食べました。
「おいしい。」
そのときです。犬のけたたましいほえ声といっしょに パン屋の 主人がとびだしてきました。
「クマがでたぞ。」
「クマをおいはらえ!」
子グマは はなされた犬にかまれました。そして棒でなんどもたたかれました。
その11
子グマは いたむ足を ひきずりながら ひっしで にげました。
なんどもころびました。 はしりつづけて つかれてしまって とうとう うごけなくなってしまいました。
いたみも それほど かんじなくなっていました。
「かあちゃんに あいたい。」
子グマはまた くりかえし 言ってみました。
そのとき ぐったりした子グマを だきあげるものがありました。
「あっ かあちゃんだ。
やっとあえたよ どこにいたの?
ずうっとさがしてたんだよ。 ごめんね。
ぼく かあちゃんに 言われてたのに山から おりてきちゃったんだ。
それから にんげんのうちの クリも食べちゃったんだ。
だから たたかれて いたくて・・・・」
ゆめのなかの 母グマは なにも言わず 子グマをギュッとだきしめて やさしくなでました。
ねづまさき
さりすけさんのブログで紹介していただいてます。
今日もご覧頂きありがとうございます。
絵本 かあちゃんに あいたい 文 絵 ねづまさき
その12
風がふきました。
子グマは だれかに あたまを なでてもらっているのに 気がつきました。
あたりを見ると いままでに 来たことのない 場所でした。
「今のは ゆめだったのかな。
あなたはなにをしているの?」
つづく
次のブログでこのブログを紹介していただいています。
「家族6人 犬一匹 ロッキー山脈ふもと生活」
とびっきりLovely~アメリカ~
MARIGARDEN
今回はブログの友人 さりすけさんの健ちゃんへの追悼の思いを絵本にしました。
昨年夏に描かせてもらった袴姿の健ちゃん・・とても自慢げにかっこいい健ちゃんが愛らしい!←クリックすると健ちゃんに会えます。
for Ken and his mother
絵本 かあちゃんに あいたい 文 絵 ねづ まさき
その1
冬
山の おくふかく 母グマと この冬に生まれた子グマの上に
雪が しんしんとふりつもります。
「ねえ、かあちゃん 木の芽ってそんなにおいしいの?」
「そうだよ いい子だ いい子だ もうすこし ねんねしようね。」
母グマは もうじきおとずれる春が まちどおしくてたまらない 子グマに
やさしくやさしく 語りかけます
その2
春
子グマは 待ちかねたように ほらあなのそとに 出ました。
かあちゃんの言ったとおり 木の芽はあまくて ほっぺたが おちそうでした
子グマは うれしくて うれしくて めぶきはじめた きみどりいろの野原を
ヤマメがおよぐ 川のふちを かけまわりました
なにもかも かあちゃんが おしえてくれた とおりでした
その3
しあわせな日が つづきました。
子グマは、母グマに 食べもののことや 山でやってはいけないこともおそわりました。
「ぼく、かあちゃんだいすきさ。 ねえ、かあちゃん、いつまでも ずうっといっしょにいてね。」
母グマもそんな子グマが かわいくて しかたありません。
「そうだね。ずうっと いっしょにいられたら どんなにいいことかしらね。」
そのころ やせた 大きな オスのクマが 親子のすむ山を よこぎりました。
そのクマは、里のさくもつを あらして となりの山から かりゅうどに おわれてきたのでした。
なにもしらない 子グマは きょうも母グマに やさしくだっこされて 安らかな ねむりに つくのでした。
その4
「かあちゃん どうしたの?」
子グマは いつもとちがう 母グマのようすに おどろいて ききました。
母グマは、鼻のおくに ツンとくる 鉄のにおいと つよく感じる 犬のにおいで
おそろしい かりゅうどが 近づいてくることに 気づいたのでした。
かりゅうどは 母グマが思っていたよりも ずっと早く 親子のまえに あらわれました。
母グマは、なんとかして 子グマを たすけたい と思いました。
けたたましくほえる 犬の声。
やがて かりゅうども 親子のクマに 気がつきました。
母グマは ゆっくり立ち上がりました。
かくごをきめた ひょうじょうです。
その5
「かあちゃん こわいよ。」
「いいかい おまえは 犬とは 反対のほうに 走るんだよ。
ぜったいに ふりむいちゃ いけないよ。」
「かあちゃんは にげないの?」
「かあちゃんは にげるけど 犬のほうにいくよ。」
「やだよ いっしょじゃなきゃ やだ!
そんなことしたら はなればなれになっちゃうよ。」
いつもは やさしくだっこしてくれる 母グマの手が子グマの せなかを つよくおしました。
子グマはたおれました。
でも すぐに走りだしました。
その6
犬がいちだんとはげしくほえました。
母グマのうなり声も聞こえます。そして
「ダーン」
あたりに 火薬のにおいが ただよいました。
子グマは、はしって はしって もうどこを はしっているのか わからないほど はしりました。
それでも かあちゃんにいわれたとおり ぜったいに ふりむきませんでした。
まよなかに なりました。
その日 子グマは生まれてはじめて
ひとりぼっちでねました。
こわくて さみしくて なきだしそうでした。
「かあちゃんに あいたい。」
なんども なんども いいました。
その7
あくる日 子グマは、ようやく すみかの ほらあなに もどってきました。
かあちゃんに だっこしてもらった しあわせな日が たしかにここにありました。
でも いまは、どんなに大きなこえで よんでも かあちゃんは いません。
子グマは かすかな においに 気がつきました。
「あっ これは かあちゃんのにおいだ。」
子グマは、このにおいを たどっていったら きっと かあちゃんにあえるとおもいました。
その8
夏
いきものの いのちが かがやく季節です。
でも子グマのきもちは すこしも はれません。
「かあちゃんが りょうしに うたれてしまったかもしれない。」
そう思っただけで 子グマは からだから力がぬけてしまい、
息をするのも苦しくなるのでした。
子グマは 大きくひとつ ためいきを つきました。
その9
季節は 少しずつ 秋に ちかづいていました。
子グマは 母グマの においをたどるうちに 里のほうに おりてきてしまって いたのです。
おなかがすいて なにか 食べられるものをさがしていると いままでに かいだことのないような いいにおいがします。
その10
つり橋をわたったところに パン屋がありました。
そばにクリのイガが たくさんすててありました。
小さい実が まだはいっているのをみつけて 食べました。
「おいしい。」
そのときです。犬のけたたましいほえ声といっしょに パン屋の 主人がとびだしてきました。
「クマがでたぞ。」
「クマをおいはらえ!」
子グマは はなされた犬にかまれました。そして棒でなんどもたたかれました。
その11
子グマは いたむ足を ひきずりながら ひっしで にげました。
なんどもころびました。 はしりつづけて つかれてしまって とうとう うごけなくなってしまいました。
いたみも それほど かんじなくなっていました。
「かあちゃんに あいたい。」
子グマはまた くりかえし 言ってみました。
そのとき ぐったりした子グマを だきあげるものがありました。
「あっ かあちゃんだ。
やっとあえたよ どこにいたの?
ずうっとさがしてたんだよ。 ごめんね。
ぼく かあちゃんに 言われてたのに山から おりてきちゃったんだ。
それから にんげんのうちの クリも食べちゃったんだ。
だから たたかれて いたくて・・・・」
ゆめのなかの 母グマは なにも言わず 子グマをギュッとだきしめて やさしくなでました。
ねづまさき
さりすけさんのブログで紹介していただいてます。
by moritibi
| 2009-11-27 06:13
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